歯のホワイトニングを検討していると「ホワイトニングには口臭を予防する効果もある」なんて噂を聞いたことのある人もなかにはいるのではないでしょうか?
口臭って誰もかこっそり抱えている悩みのひとつ。ホワイトニングすることによって、歯の白さと同時に、口臭予防もできるのであれば、申し分ありませんよね。
果たして、本当にホワイトニングには口臭予防の働きがあるのでしょうか?
ホワイトニングといえば、歯を白くすることが目的ですが、実は歯が白くなる以外にもいくつか隠れたメリットが存在します。
歯のホワイトニングが持つメリットとは
の5点。ご覧の通り、口臭予防があります。ホワイトニング口臭予防説は単なる都市伝説ではないんです。
「笑顔に自信が持てる」「清潔感がアップする」の2つが「歯を白くする」に影響しているのは、すぐ分かりますよね。
でも、口臭予防がホワイトニングとどう影響しているというのでしょう?まずは、口臭が起こるメカニズムから確認していきましょう。
口臭が気になりだすと人前で話すことも躊躇ってしまいますよね。なぜ口臭って発生するのでしょう?
もし、下の項目に心当たりがあるのなら、あなたの口のなかに口臭の原因がある証拠。
口のなかには、絶えず300種類を超える細菌が澄みついています。口内の棲む細菌の数は肛門よりも多いんです。
こんなに細菌まみれの口のなかですが、唾液がもつ殺菌・抗菌作用によって、ある程度は清潔に保たれています。
しかし、口呼吸をしていたりドライマウスによって、唾液量が減って口のなかが乾燥してしまうと、せっかくの免疫機能が失われて、 細菌が活発に繁殖して口臭のでやすい状況に傾いてしまいます。
そう、口臭は口のなかにいる細菌によって作られるのです。細菌が、歯の間などに挟まっている食べカスや剥がれた粘膜を分解して、揮発性硫黄化合物を産生することで起こります。
もっと噛み砕いた言い方をするなら、細菌がたんぱく質やアミノ酸【食べカス・粘膜】をパクパク食べて、おなら【揮発性硫黄化合物】を出すということ。
このおならが口臭の正体というわけ。
歯をしっかり磨いている人でも常時1000〜2000億個の細菌が棲みついているといわれており、オーラルケアを完璧にしていようとも、口臭を完全に取り除くことは不可能なんです。
鏡でベーッと舌を出して確認してみてください。ピンク色の舌に、白い苔のようなものがビッシリとついてはいませんか?
これは舌苔(ぜったい)といって、細菌・食べカス・粘膜などの残骸です。
舌の表面は、毛足の長いカーペットのようなひだ状をしています。毛足の長いカーペットってゴミが溜まりやすくありませんか?
舌の表面も同じように食べカスや剥がれた粘膜が非常に絡みやすいのです。そのため、舌の表面にたまった舌苔が腐敗して悪臭を放ち、口臭の原因となるのです。
唾液量が少なかったり、舌の動きが鈍いと舌苔が溜まりやすくなると言われています。風邪やウィルスに感染すると一時的に舌苔が溜まりやすくなることも。
舌苔は舌ブラシを使うことで簡単に取り除くことができます。でも、舌苔がつくのはごく普通のこと。過剰にやりすぎると、舌の粘膜を傷つけてしまうので1日1回程度にしましょう。
虫歯や歯周病も立派な口臭の原因になります。
本来なら健康であるべき歯が虫歯・歯周病になっているということは、すでに細菌が増殖しているということ。細菌=口臭の原因なわけですから、口臭が起きないはずがありません。
でも、虫歯と歯周病の違いってしっかり認識していますか?どちらも歯の病気だとは知っているけど、明確な線引きができていない人が多いように感じるので、ここでしっかり確認していきましょう。
細菌が口臭の原因になっていると再三お伝えしていますが、実は、口のなかには2種類の細菌が存在しています。
まさに陰と陽の関係にある細菌。このうち、口臭の原因になるのは嫌気性細菌だけなんです。
文字どおり、空気を好んで活動する細菌のこと。虫歯の原因と言われるミュータンス菌も好気性細菌に該当します。
好気性細菌は歯の表面にしか付着しないため、毎日の歯磨きによってある程度きれいに落とすことができます。
しかし、嫌気性細菌は歯ブラシでは落としきることができません。というのも、この細菌が好むのは空気に触れないジメジメした場所のため。
歯と歯肉の間にある歯周ポケットで嫌気性細菌は増殖して、歯周病の原因となります。歯周病は、成人のほとんどがかかる病気といわれ、症状としては
このような段階を踏んで悪化していきますが、下に進むにつれ口臭がひどくなっていくのも歯周病の特徴。
一度歯周病になってしまうと、セルフケアで治すことはできず、歯科医院で治療する必要があります。
歯科医院では、スケーリングといって歯と歯肉の間にある嫌気性細菌を、超音波振動を利用して取り除いて治療していきます。
口臭のメカニズムがわかったところで、なぜホワイトニングすることが虫歯予防に繋がるのかを確認していきましょう。
歯のホワイトニングは、いきなりホワイトニング剤を塗布していくことはありません。
と、いう3ステップで行われます。
虫歯や歯周病など歯の状態が悪ければ、ホワイトニング前に治療を優先し、完治してからホワイトニングします。
歯に問題がなくても、クリーニングを行ってからホワイトニング剤を塗布するので、結果としてホワイトニング前に比べて、口臭の原因である口内細菌を確実に減らすことができるのです。
ホワイトニング剤の主成分は、過酸化水素とよばれるもので35%の濃度のものが使われるが一般的。
実はこの35%過酸化水素を歯に塗ると、エナメル質の再石灰化を促進することが、2011年の昭和大学歯学部の研究により報告されています。
エナメル質の再石灰化が促進されるというのは、細菌に負けない強い歯になるということ。ホワイトイングによって歯が丈夫になれば、口臭の原因である細菌も繁殖しにくいというわけです。
ホワイトニングには永久性はなく、放置しているといずれ黄ばみのある歯へと戻ってしまいます。そのため、一度ホワイトニングすると、定期的なメンテナンスを受けることが常識。
メンテナンスの際にも、歯の状態チェック&クリーニングはしっかり行うので、虫歯や歯周病が起きても対処してもらうことができるんです。
ここまで「ホワイトニングには口臭予防の効果がある」<と説明してきましたが、一方でホワイトニングをしても予防できない口臭も存在します。
口臭は、口のなかに問題があるケースがほとんどを占めていますが、約2割は口のなか以外のところに原因があります。
体のどこかに異常がある場合、口臭を伴うことがあります。
口のなかに原因がある口臭が「排水口のような臭い」「ドブ臭い」のに対して、病的原因による口臭は「肉が腐ったような臭い」「アンモニア臭」のような臭いがします。
これらの症状がある場合には、ホワイトニングをしても口臭を予防することはできません。しかし、病気をしっかり治療することで口臭を改善することができますよ。
いかがでしたか?
ホワイトニング口臭予防説は、単なる都市伝説ではなく事実であることがわかりましたね。
口臭は口のなかにいる細菌が、歯の間に挟まった食べカス・歯がれ落ちた粘膜を分解することによって発生するガスであること。
ある程度なら殺菌・抗菌作用のある唾液が口臭を予防してくれますが、口呼吸やドライマウスの場合には、唾液がうまく分泌されずに口臭を悪化させてしまうこと。
虫歯や歯周病を抱えたままだと、細菌が減らずに口臭が強くなることもわかりました。でも、ホワイトニングをすることで、これらの口臭を軽減して予防することができます。
ホワイトニング前に行う、歯の状態チェック&クリーニングによって、口内細菌を最低限まで減らすことができ、定期的なホワイトニングメンテナンスに通うことで、予防処置を持続することができます。
ただし、ホワイトニングで予防できる口臭は口のなかに原因があるものだけ。口臭の20%は、口のなか以外の病的口臭であり、こちらにはホワイトニングをしても口臭を断つことはできません。
とはいえ、80%近くは口のなかの問題があっての口臭なので、ほとんどの人がホワイトニングをすることで、歯を白く&口臭予防をできるというわけです。
もし、普段から口臭を気にしている人なら、まさに一石二鳥ですよね。